2011年6月23日木曜日

競技ダンス実践テクニック「JDSF審査基準への対応」

現在のJDSFの審査基準は世界的なアマチュア組織であるIDSFの審査基準に準拠しています。

私たち競技選手はこの審査基準をもとにして、競技会の採点をされているわけけです。

ですから、審査員、審判員が何を求めているかは、この審査基準から判断できるわけです。

逆に考えると審査員、審判員が求めていないことをいくら練習しても、競技選手としては無意味なわけです。

ダンスの練習は時間も体力も限られておりますので、方向性の間違った方法で練習していると、とくに中高年ダンサーはあっという間に5年10年と時間が過ぎ、加齢からくる体力的な問題で上達が困難になってしまいますから、最初から正しい方向性を見極めで効率的な練習をすることが重要です。

それには前述のJDSF審査基準に基づいた、審査員、審判員のニーズに応える練習方法で「技術」を習得するのが、昇級の鍵となります。

まず、審査項目の1番目の「タイミングとベーシックリズム」というのは、音楽のリズムつまり「音」をしっかりと聞き取り、そのタイミングにジャストミートしたステップを踏むことが、最重要な審査のポイントになるということです。

この「タイミングとベーシックリズム」はほかの審査項目のどの項目よりも重要視されます。

つまり、「音」をはずした時点で、どんなに優れたテクニックを駆使した美しいダイナミックなダンスも無意味になるということです。

ボールルームダンスはダンス音楽が必ず演奏され、それに合わせて踊るということが基本的なコンセプトですから、音楽をはずして踊るということはボールルームダンスが成立しないということになるわけです。

この、「音」「リズム」が最近はDSCJによって、細かく規定されてはおりますが、そのテンポに幅があり、また音楽収録されているCDやそれを選ぶ選曲者の好み、あるいは機材によるその規定範囲のテンポ調整により競技会よって、いろいろであることが、「音をはずす」原因でもあるのです。

これを練習であらかじめ対策するには、練習時に遅いテンポの曲と速いテンポの曲をいろいろミックスして、どんなテンポにも自然にステップを合わせることができるように訓練しておくことが重要です。

競技会で「音を取ろう」とした時点で踊りは消極的になり、ダイナミズムが失われますので、採点に結びつかないことになります。

「音」をはずさずにダイナミックに踊れるという能力を、日々の練習の工夫によって培わなくてはなりません。

2番目のボディラインというのは、スタンダードの場合、ポイズ(身体の傾き度合いを含めたシルエットの美しさ)とポスチャー(ヘッドウェイト、ショルダー、バスト、ヒップ、ニー、フットがオンバランスに保たれていること)が正確に体現できていること、また、ホールド、姿勢が美しいことです。

このホールド、つまり、スタンダードにおける「形」は、身長の高低、あるいは年齢にかかわらず工夫次第で、「美しく」なることができますから、ホールドの練習は時間を割いて練習しなければならないことですが、ほとんどの選手はステップの練習に明け暮れて、曲がった姿勢やホールドが癖になって、なかなか昇級にも結びつかない人を多くみかけます。

あるいはレベルの低いコーチに付いたために、間違った姿勢やホールドを覚え、頚椎や脊柱を痛めて、坐骨神経痛などの症状でコルセットなどのお世話になり、最終的にはダンスを断念せざるを得なくなるカップルも周囲に何組もおられます。

中高年ダンサーにとって、いや、若年層も含めたあらゆるアマチュアダンサーにとって、ホールド、姿勢の最も重要なことは「身体を痛めない形」であることです。

特に女性は無理なアウェイ(男性から頭を離すために身体を反り返らせること)や、ボディをひねったままの姿勢で踊ってはいけません。

ポスチャーを適切に保ち、腰から反ることは絶対にしてはいけません。

そして、競技ダンスで身体を痛めないためには、正しいコーチ、できれば初心者の場合でも、最初からトッププロの正しいレッスンを受けることが必要です。

3番目のムーブメントというのは、スタンダードの場合、「より大きいスイングの方がより良い採点と判定される」という部分に注目することが必要です。

つまり、これはライズ、ロアー、フォールも含めて、ストライドが大きい方がより採点基準を満たすということです。

簡単にいうとスタンダードの場合「身長が高くて、足の長い選手が絶対的に有利である」ということです。

逆にいうと「身長が低くて、足の短い選手は絶対的に不利である」ということでもあります。

しかし、「それだけではない」のがダンスなのです。

ムーブメントの中には「カップルのバランス」と「ムーブメントがコントロールされ良くバランスされている」という項目もあるからです。

この「カップルのバランス」ということを、男女の身長差の適正と考える審査員も実際におりますし、そのような採点結果に往々にしてなるのでありますが、中高年のアマチュアの夫婦の場合はリーダー、パートナーを替えるわけにもいきませんから、その中で調整してバランスが美しく見えるお互いのポイズおよびホールドを研究しなければならないわけです。

そしてこの、美しいポイズ、ホールドというのは、「外から見た観点」つまり「客観」であるということを確認しなければいけません。

サークルダンスで陥りやすい、間違った観点である、「踊りやすい」「気持ちが良い」ということは「主観」であるわけです。

競技ダンスの場合は本人達にとって、「踊りにくい」また「気持ちが良くない」「苦しい}という踊り方でも、「客観的」に見て「美しい」「ダイナミック」な踊り方であれば、それが正しい踊り方であるということです。

そして次の「ムーブメントがコントロールされ良くバランスされている」ということは、平易にいうと、「慣れていて、動きが滑(なめ)らかに見える」ということです。

不慣れでヨチヨチとぎこちない動きではなく、慣れていて迷いのない流れのあるダイナミックな動きであるということでもあります。

言い方を替えると練習量と経験が豊富であるということです。

「習うより慣れろ」というのは競技ダンスには最適、最高のメソッドでもあるのです。

しかし、実際にはこのカップルバランスやボディライン、ホールドなどを整えることと、「慣れる」ことは「絶対的に有利な身長の高い選手」にもできることですから、「絶対的に不利な身長の低い選手」はその数倍の努力、研究をしないと同等の評価は得にくいのが現状です。

その研究には、フィガー(ダンスにおける、ステップとその一連の動作)の工夫が重要な鍵をにぎります。

ストライドの距離を求めても歩幅には限界がありますの、それが大きく動いて見えるフィガーを組み合わせたアマルガメーションを組み立てるということです。

そしてそのフィガーを組み上げたら、そのホールド、姿勢、動きを含めて、それを「客観視」しなければなりません。

そのためにはビデオカメラを多様することがポイントです。

自分の目で自分の踊りがどのくらい間違っているかを「客観視」するわけです。

踊っているときに自分で感じている「主観」と、外から見ている「客観」の違いをしっかりと認識して、その動きを練習のたびに修正していくのが、競技ダンスにおける上達の早道になります。

「私はダンスがとてもうまい」と思った時点でその上達は止まります。

「私のダンスは見ていられないぐらい下手だ」と思っている限りは、ランク、年齢に関係なくダンスは上達します。

自分の練習ビデオを見ることは、この「自分は話にならないぐらい下手である」ということを認識する手段でもあるわけです。

審査基準の4番目は「リズミックインタープリテーション」です。

これは、その種目の音楽に合わせた「音楽的表現」をするということです。

ワルツはワルツに見えるように、タンゴはタンゴに見えるように、フォクストロットはフォクストロットに見えるように、クイック・ステップはクイック・ステップに見えるように「音楽的表現」をするということです。

しかし、これは、音楽センスあるいは形態認識能力にかかわる、感性の問題であり、いかんともしがたいものもありますので、まあ、基本的な踊り方をトッププロの踊りを見て学ぶ以外にありません。

そして、5番目に出てくるのが、皆さんがこだわっている「フットワーク」です。

人間というのは不思議なもので、審査員も審査基準の「1番目のタイミングとベーシックリズムは総てに最優先して、審査項目2~5は同じ重要性である」とわかっていても、審査基準の順番が4番目5番目となると、その重要性の意識が軽くなるのが人情です。

それに、競技会では決勝以外は12組から14組ぐらいがいっぺんに踊り、それを1分少々で審査して、毎回それを半分ぐらいふるい落とさなければなりませんので、1カップルをじっくりと見ることはとうていできませんから、実際には2~3秒でその良し悪しを判定しますので、よほどマニアックな審査員以外はフットワークが正確かどうかまでは見ている余裕がありませんので、あきらかな間違い以外は問題ないわけです。

つまり皆さんが一番こだわって、日々、ステップがどうの、足の角度がどうの、出し方がどうのと、リーダーとパートナーで大喧嘩していることは、競技という観点でみるとほとんどが時間の無駄であるわけです。

それに、JDSFの場合は3級競技会からはどんなバリエーションも認められているわけですから、極端に言えば、ステップは踊り手の自由ということになりますので、考えようによってはステップ、フットワークの間違いは基準がないということになるわけです。

女性のステップ、フットワークで重要なことは、「正しいステップ、フットワーク」ということよりも、男性つまりリーダーの「フォロー」であるという観点から、男性の踊りを壊さないフットワーク、ステップが望ましいわけです。

逆に言えば男性は女性のボディライン、ホールドを壊さないフットワーク、ステップをしなければなりません。

以上のことから、競技会対策では「音」「形」「ストライド」という3点がそろわないと、採点に結びつかないということがわかるわけです。

「音」をはずせば、もちろん点は得られませんし、うっかりするとノーマークの0点ということになります。

また、「形」つまり、ボデイライン、ホールド、姿勢が悪ければ、どんなに音がとれていて、ダイナミックな動きができても採点には結びつきません。

また、「ストライド」が他の選手より小さいと、どんなに音がとれていても、どんなに美しいホールド、姿勢でも、情けない踊りに見えてしまいますから、採点には結びつきません。

この3点を抑えて、ビデオなどで自分達の踊りを「客観的」に確認しながら日々の練習をこつこつと積み上げることが、競技ダンスの上達、昇級のもっとも早道となるはずです。

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