2011年6月12日日曜日

競技ダンス実践テクニック「競技ダンスにおける男女の役割」

スタンダードダンスに限らず、ボールルームダンスつまり社交ダンスは、当たり前ですが基本的に男女でペアを組んで踊るわけです。

これを1人でやれば、実に容易で、好きなように踊れるわけです。

ところがこれを2人でやるというところに非常に困難な状況が生まれるということになります。

ラテンダンスはともかく、二人が基本的にホールドによる5点のコンタクトでがっちりと組んで踊るスタンダードダンスでは、二人の動きがシンクロしないと、足を1歩踏み出すことすらできません。

さらに、サークルダンスや、パーティーダンスは相手さえ満足すれば、どのように踊ってもいいわけですが、これが競技となると、フロアーには審査員という、良くも悪くも絶対的な基準である神様がいるわけですので、その採点基準というニーズに合わせた踊りをしなければなりませので、ダンスはさらに困難な状況に陥ります。

さて、ボールルームダンスの男女の役割はもちろん男性がリードで女性がフォローであるわけです。

この、「リード」というのは言葉通り、男性が女性をそのフィガー、アマルガメーションにリード、導くということです。

男性のリードの第一は、まず「音」を取ることです。

音楽がなければダンス自体が成立しませんので、とにかくリードの第一が音を取るということになります。

この音の取り方がそのダンサーの感性を反映してその踊りの個性ともなります。

それを男性が女性に伝えて、女性はその動きにジャストミートでタイミングを合わせて動いて、始めてボールルームダンスが成立するわけです。

ここで問題はジャストミートといっても、男性が音を取ってそのタイミングを女性に伝えて、女性がそれに合わせるわけですから、そこに男女間の微妙なタイムラグが生まれるわけです。

女性がどんなに正確に男性の動きに合わせようと思っても、実際には女性が目に見えないぐらいの微妙な感覚で遅れて動くということです。

しかし、この目に見えない微妙なタイムラグは審査員には伝わりますので、これを女性が勝手に音を取って、先に動いたり、勝手に動くと、「タイミング」が合わなく見えてしまいます。

つまり、極端に言うとスタンダードダンスの場合は女性は音を取らない方がいいということになります。

男性は自分が音であることを自覚し、自信を持って音を女性に伝え、女性は我(が)を捨てて音である男性に合わせなくてはなりません。

そのためには男性は自分の踊りを表現できるまで音を取る練習をしなければなりませんので、女性の10倍あるいは100倍ぐらいの練習をしなければなりませんが、その「10倍あるいは100倍の練習量」も男性の役割ということになります。

次に、男性は女性のホールドも作らなければなりません。

これは男性の姿勢、腕の開きかた、角度、高さなどで、女性の姿勢、ホールドが変わってしまいますので、女性のホールドを作るのも男性のホールドしだいということにもなるわけです。

そして、いよいよ競技会ということになると、ヒートを呼ばれてフロアに入ったら、男性は、まず、フロアのどの位置に立ち、どの方向に進むかを瞬時に決定しなくてはいけません。

最近の競技ダンスは、以前と違い、フィガー、アマルガメーションをあらかじめ組んで、それを繰り返し練習して、そのままのルーティンで踊りますので、どういうフィガーで何を踊るかということはもう決まっているわけですので、パーティーダンスで見知らぬ人と踊る場合のように、場面場面でどのようなフィガーにリードするかというような部分のリードは不要なわけです。

そこで重要になるのが、立ち位置と方向性と出るタイミングです。

スタンダード種目では、音楽が始まると、同じようなフィガーで同じ方向にいっせいに動き出しますので、その方向とタイミングを間違えると、動き出しですぐ他のカップルと接触して止まるということになります。

そうなると、必死で取っていた音は見えなくなりますし、あわてると思考が混乱して、初心者の場合には次に何をするのかさえわからなったりします。

まあ、競技が始まってすぐ、いわゆる「頭がまっしろ」と言う状態になるわけです。

こうなると、男性はもう、リードどころではありませんので、あたふたしてほとんど踊っていないという状態になって終わってしまうということになるわけです。

ですから、普段から、どこから出るとぶつかるか、あるいはどの方向に行けばぶつからないかということを研究して、さらに、最悪ぶつかった場合にどのフィガーから出るかということを決めておいて、それを女性とともに練習することが必要です。

そのためには、たとえば体育館などで練習しているときに、他の練習者と接触して止まった場合に、最初からやり直さずに、その続き、あるいはその場合にどのフィガーから出るかを練習することを習慣にしなければなりません。

これは、逆にいうと、競技会では他のカップルと必ずぶつかるということを前提に普段の練習をしておくということです。

そして、そのときに、次に出るフィガーを決め、音をとり、方向を決め、ホールドを崩さないということは男性の役割となります。

前述したように、最近の競技ダンスではフィガー、ステップは決まっているわけですから、女性はそのリードに従い、男性のタイミングに合わせるということにのみ集中すればいいわけです。

競技ダンスでは最も重要なことですので、何度も言いますが、女性がこの「男性にタイミング合わせる」ということをしないで、勝手に音をとって、勝手な歩幅で、勝手な踊りをすれば、男女のコンビネーションが合わず、ばらばらな動きになりますので、一体感がなくなり、あるいはステップさえできなくなり、重要な採点基準である「インタイム(in time)で踊っているかどうか」ということに大きなマイナス要因になるということを理解しなくてはなりません。

つまり、女性の競技ダンスにおける「うまさ」とは、いかに男性に「タイミングを合わせる」ことができるかということです。

このためにはトッププロの女性たちのように、「相手の気」を感じることができればいいわけですが、細胞の活性度も落ちて脳もすっかり萎縮して、そのパフォーマンスが情けないぐらい低くなってしまった私たち中高年ダンサーにそんなことはまるっきり無理ですので、まあ、せめて「相手の動き」を感じて、それに合わせるという感覚を磨いてください。

これらを要約すると、競技ダンスではそのほとんどが「男性の役割」ということになるわけです。

競技ダンスの目的は、男性はみな同じエンビ服で真っ黒けで、女性がひとりひとり違う華やかで豪華なドレスであるということでもわかるように、女性をいかに華やかに美しくみせるかということでもあるのです。

男性は岩で女性は花であるとたとえる先生もおられるそうですが、その花を美しく咲かせるのも、しぼんだ枯れ尾花にするのも男性しだいということになります。