2011年6月12日日曜日

競技ダンス実践テクニック「競技会によって違うテンポへの対応」

現在、DSCJ日本統一級の競技会ではスタンダードの場合は競技規則に従って、ワルツ(28~30)、タンゴ(31~33)、ヴィニーズワルツ(58~60)、フォクストロット(28~30)、クイックステップ(50~52)と定められています。

しかし、グランプリなどの大きな大会ならともかく、それ以外の大会では、大会の音楽担当者が演奏曲目の選定やテンポを調整して作っていますので、それがメトロノームで測ったように正確であるということではありません。

それはそのもとになるCDの曲のテンポが、CDジャケットの表記に対して必ずしも正確であるということではないからです。

さらにその表記のテンポ自体がたとえば同じ曲のワルツの28でも、実際にはCDによってかなり差がある場合があります。

その差があるCDジャケットの表記や実際の演奏に対して、デッキのピッチコントローラーなどで調整しますので、当然、いろいろなCDから使いやすい曲をピックアップして寄せ集めた場合には、おなじワルツの28に調整しても、同じテンポにはならないわけです。

また、たとえばワルツでも、競技規則内の範囲の28~30というと、これは実際には大変な差があります。

同様にタンゴでも、31と33では実際に合わせようとすると大変な違いがあります。

いつもワルツを30のテンポで漫然と練習していたものが、競技会でいきなりテンポ28の曲がかかれば、そうとうな才能の持ち主でもない限り、そのテンポに合わせることは困難です。

これが、初心者が競技会で「音をはずす」ということの大きな原因でもあります。

先日の後期DSCJの競技会で会長がB級戦で決勝に入り、A級にリーチしたわけですが、この勝因は音をうまくとれたということにもあります。

その大会の曲のテンポがCDの曲のままの生音(なまおと)に近いということも以前の出場経験でわかっていたことと、当日は1ヒートから最終ヒートまで同じ曲であったいうことで、音をはずす要素がなく、ていねいに踊れたということが、準決勝2位で決勝進出という結果に結びついたわけです。

これが、たとえば1ヒートに組み込まれて、予想と違うテンポで、毎回違う曲であれば、音をとることに大半のエネルギーが使われて、「踊る」ということには向けられなかったと思います。

これが、同じ中高年でも、ダンス歴数十年のベテランであるとか、若いころに一度ダンスを経験した人や、学連上がりである人などの場合は、音楽にステップや動作を合わせるということが経験として脳に蓄積されておりますので、テンポが違っても身体が自然に音をとりますので、音をとるということに対してそれほど苦労はありません。

しかし、会長も含めて、中高年の50歳以上からダンスをいきなり始めた、いわゆる初心者の場合は、脳にも身体にも音が入っておりませんから、踊るたびに必死で音をとらなければはずれてしまいます。

さらに、音楽演奏やカラオケなどが趣味でない場合は、実際に4拍子の曲のどれが1でどれが2なのかもわからないという人もいるわけですから、音楽に無縁であった中高年の初心者には「音をとる」ということは至難のわざといってもいいぐらい大変な作業であるわけです。

社交ダンスは「ダンス」であるわけですから、当然、音楽に合うことが第一であるわけですが、中高年のダンサーの場合は、そのフィガーのステップや動作を覚えることだけでも困難で、すっかり萎縮して衰えた脳の機能の大半がそのために使われて、さらに長い間の左脳優位の生活で、理屈と理論を勘違いして、どうでもいい細かいテクニックにこだわる人はたくさんいても、音をどうとるかということにこだわる人には会ったことがありません。

その上、練習場でかかっている曲のテンポと実際の競技会の曲のテンポはまったく違うことが多いわけですから、競技会によってはD級以下の下位級の中高年のほとんどのカップルが音をはずしている場合もあります。

人間の脳には「慣れ」という機能がありますから、一定のテンポで練習すれば身体はそのテンポに慣れてしまい、勝手にその動きをしようとしますから、いざ違うテンポの曲がかかった場合には、意思でそのテンポに動きを合わせようとしても、身体も脳もそれまでに慣れた動き、反応しかしませんので、結果的に、音が見えなくなって、何がなにやらわからず、でたらめに踊るということになります。

現在JDSFや各都道府県DSCに所属していて、DSCJ日本統一級の競技会に出場する場合にはJDSFとJDCとJPBDAの3団体の大会があるわけです。

同じDSCJの大会でも、テンポについてはこの3団体によって、競技規則で決められた範囲内でさまざまで、さらに、おなじ団体内でも地域や競技会を主催する連盟によって違います。

さらに、JBDFやJCFなどの競技会では、DSCJの競技規則に沿っているわででもありませんし、同じJBDFの競技会でも東京支局と神奈川支局ではテンポがぜんぜん違います。

これはJCFでも同様で、会場や大会によって違います。

ですから、練習のときに次回に出場する競技会のテンポを予測して、曲のテンポをピッチコントローラーで調整して練習するのがベストですが、いわばすべての競技会によって、曲のテンポが違うわけですから、これをすべて予測して、ジャストミートでテンポに合わせることは困難な状況であるということになります。

それで、実践的にはどうするかというと、ダンスの場合は、テンポが練習したものより速い場合には比較的合わせやすいのですが、遅い場合には足が速く下りてしまうので非常に困難になります。

それで、まあ、たとえばワルツの実際の場面では、27~30のテンポで構成されますので、28ぐらいで練習しておけばだいたい対応できます。

これはたいていのCDはテンポ29という表記になっていますので、だいたいマイナス3%~4%程度のテンポに調整して練習すると合わせやすくなります。

タンゴ、スローフォクストロット、クイックステップ、ヴィニーズワルツも同様にマイナス3%~4%程度のテンポで練習します。

しかし、これはCDによって、差がありますので、調整しても、実際には明らかに遅くなりすぎたりするものもありますので、それはその状況によって判断しなければいけません。

このテンポの調整については、練習場ではその主催者に理解を得られなければ無理ですので、自分で練習場やスタジオを借りるか、あるいは家で競技会の前に音合わせの練習をするということになります。

このCDのピッチコントロールによるテンポの調整については、スタジオなどで完備しているところもありますが、無い場合はCDをパソコンに取り込んで、ピッチコントロール、テンポコントロール、スピードコントロールなどができる音楽ソフトをダウンロードしてそれでテンポを調整してCDを制作します。

ちなみに会長の場合はCDを Media Player に取り込んで、Rip!AudiCO で wave に変換して、audacity で、テンポを調整しています。

audacity は wave に変換しないと正しく動作しません。

Rip!AudiCO も audacity もフリーソフトで、日本語バージョンがあります。

また、メディアプレイヤーの最近のバージョンでは、テンポ調整ができるようになっています。

パソコンが苦手な人はビ簡単にCDのテンポ調整のできるピッチコントローラーのついたラジカセも販売されています。

それで、テンポの変化に対する対策に沿った練習をしてきても、気をつけなければいけないのは、競技の本番前の練習曲のテンポと実際の本番の曲のテンポが違う場合が多いということです。

ですから、本番前に大汗をかいて夢中で練習して、そのテンポにすっかり慣れて、本番ではすっかり音をはずしてしまうということになり、ほとんどの人はそのことにすら気づきません。

また、競技会では、自分のクラスが始まるまでの時間を漫然と過ごさずに、その競技会の本番のテンポを、前のクラスの曲を聴いて、よく確認しておくことも重要です。

ダンスファイナルの中高年ダンサー諸氏は会長も含めてどなたもいわば老人寸前で、見方によっては年齢からいえば老人老婆そのものですので、基礎から時間をかけてしっかりなんて考えてると、体力や脳の機能の衰えでパフォーマンスがどんどん下がり、昇級はどんどん困難になりますので、残された短い時間を効率的に有効に使って、限界に挑戦しましょう。

それには右脳の活性化が第一であるわけですが、ご存知のとおり、音楽は右脳にもっとも刺激を与え活性化させる要素のひとつでもありますので、音楽にステップや体の動きを必死で合わせようとすれば、それが即、右脳活性化への方法でもあります。