2011年6月12日日曜日

競技ダンス実践テクニック「フィガーの熟練度」

競技ダンスの審査上、大きな比重を占めるものに、「フィガー(ダンスにおけるステップを含む一連の動作)の熟練度」ということがあります。

熟練度というのは、同じフィガーを何度も練習していくと、最初はぎこちなかった動作がだんだん滑らかになって、「うまく見えるようになる」ということです。

踊りの動作、流れが、スムーズでダイナミックに見えるようになるということです。

つまり、その踊りが始めたばかりでぜんぜん慣れていなくてぎこちないものより、その踊りになれていて「うまく見える」ものに当然審査員のチェックが入るということです。

「熟練」というのは「物事によくなれて、巧みなさま。練達。また、なれて上手になること。」ということですが、競技ダンスの審査においてもその字義のとおりの基準で、審査員は「より熟練度の高いもの」「よりうまく見えるもの」にチェックを入れるということです。

しかし、それは重要度の問題であって、第一に音があっていなければいけませんし、ポスチャー、ポイズが正しくなければいけませんし、ストライドがより大きくなければいけませんが、それが全部できていても、そのフィガーが慣れていなくてぎこちない動作では、「うまく」見えないので採点にはつながらないということです。

これは、競技ダンスではひとつのフィガーを2万回程度繰り返すと、脳の運動野に記憶されて考えなくてもその一連の動作を繰り出すようになるといわれておりますので、そのくらいの練習を繰り返さなくてはならないということです。

これはもちろんステップだけを繰り返すのではなく、そのときのポスチャー、ポイズ、シェイプ、ストライド、音、ホールド、体幹操作など、そのフィガーに関するあらゆることを含めて「正しい動作」で練習を繰り返すということです。

それを2万回ですから、そのルーティンを1日に10回ずつ毎日練習したとしても、2000日かかりますから、ひとつのフィガーが完成するのに最低5年半はかかるということです。

これは、若くて能力もあり体力もある、ジュニアや学蓮ならともかく、脳が萎縮して、海馬も衰えて何事に関してもさっぱり記憶できない中高年はその何倍もかかりますから、ルーティンは基本的に最低10年は変えてはいけないということを理解してください。

フィガーを頻繁に「変える」ということは、競技ダンスに関しては、この「熟練度」はかなりはっきりと審査員に見えてしまいますので、審査では大きなマイナスになることになります。

ですから、ルーティンは「変える」のではなく、「足す」というコンセプトでその練習計画をたてるようにしなければいけません。

最初は同じフィガーを繰り返すルーティンを組み、それが慣れたら、「付け足して行く」という方法をとれば、最初のフィガーはどんどん熟練度を増しますので「うまく見える」ということになります。

これを、ルーティンを変えるたびに、全部新しいフィガーにしますと、熟練度は初心者に近いものに戻ってしまいますので、全部が1からやり直しと同じになってしまい、それまでの数年、あるいは十数年が無駄になってしまいます。

つまり、この「最初に組むルーティン」が非常に重要になるということです。

これは、初心者ではそのコーチ、教師の能力の問題になるわけですが、競技ということを考えた場合には、自分であらゆることを検討して、将来的に通用するフィガー、ルーティンを組むということを考えることが、10年間フィガーを変えずにすみ、どんどん熟練度が増すということになります。

参考:国語大辞典(新装版)小学館

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